ゼネコンで働くなら知っておきたい職種別仕事内容！【7つの職種を徹底解説】

建設現場では、多くの「専門性」を持った人々が、力を合わせてプロジェクトを完成させています。

しかし、その内部にはどのような職種があり、それぞれがどのような役割を果たしているのか、詳しく理解している人は少ないかもしれません。

ゼネコンにおける主要な職種とその役割を知ることで、プロジェクト全体の流れや業界への理解が深まり転職がしやすくなる、キャリア選択がわかります。

ゼネコンの職種一覧

ゼネコンの主な職種は以下の通りです。

施工管理職

施工管理職は、建設現場における全体の進行を指揮・監督する重要な役割を担います。ゼネコンの稼ぎ頭です。

具体的には、建物の完成まで職人や品質、コスト、安全を監督します。工期の遅れや予算オーバーを防ぎつつ、安全な現場運営を維持するための調整力が求められます。現場のリーダーシップを発揮し、他職種との連携を図りながら円滑にプロジェクトを進めるスキルが必要です。

設計職

設計職は、建物の設計図面を作成し、クライアントの要望を形にする仕事です。

「意匠設計」、「構造設計」、「設備設計」の3つに大きく分かれ、各分野で専門的な知識が必要とされます。意匠設計はデザイン面、構造設計は建物の強度、設備設計は建物の機能性を担当します。設計職は、技術的なスキルだけでなく、クライアントの意見を汲み取り、最適な提案を行うコミュニケーション能力も求められます。

積算・見積職

積算・見積職は、プロジェクトに必要な建設コストを算出し、見積を作成する職種です。

資材や人件費のコスト計算を正確に行うことで、プロジェクトの収支バランスを保つ役割を担います。具体的な数量計算やコスト見積もりの能力はもちろん、現場の実情を反映した予算作成が求められます。この職種は、プロジェクトの経済的成功に直結するため、その重要性は極めて高く責任もあります。

調達職

調達職は、プロジェクトに必要な資材や設備の調達を担当します。

適切なタイミングで高品質な資材を調達することがプロジェクトの進行に不可欠です。コストを抑えながらも品質を維持するバランスを取る必要があり、サプライヤーとの交渉力や市場の動向を見極める力が求められます。また、調達職は、建設現場で使用する資材が環境に与える影響についても考慮し、持続可能な選択を行うことが期待されます。

研究・技術開発職

研究・技術開発職は、建設現場で使用される新技術や新材料の開発を担当します。

業界内での技術革新が進む中、効率的かつ安全な施工方法や環境に配慮した技術の開発が求められています。研究開発職は、業界の競争力を高めるために不可欠な職種であり、未来の建設技術をリードする役割を担っています。この職種は、技術的な知識と創造力、そして問題解決能力が求められます。

営業職

営業職は、プロジェクトの受注活動やクライアントとの関係構築を担います。

ゼネコンにとって、営業職は新しいプロジェクトを獲得するための重要な役割を果たします。クライアントのニーズを正確に把握し、それに応じた提案を行うことが必要です。プロジェクト開始後も、クライアントとの信頼関係を維持し、スムーズな進行をサポートするための調整役としての役割も期待されます。

事務・管理職

事務・管理職は、主に人事・総務、契約・法務管理、現場サポート業務など、バックオフィスでの運営を担います。

現場が円滑に運営されるためのサポート役であり、社員の管理や福利厚生の整備、契約書の作成や法的な手続きを行います。現場に直結する業務ではありませんが、プロジェクト全体の成功に貢献するための重要な役割を果たしています。

施工管理職の仕事内容

安全に納期までに建物を完成

施工管理職は、プロジェクト全体を監督し、建物を安全かつ計画通りに完成させる役割を担います。

この職種の最大の責務は、納期に遅れることなく工事を進行させ、作業員や周囲の人々の安全を確保することです。建設現場は多くのリスクが伴うため、労働安全衛生法に基づいた安全対策が必要不可欠です。工事が進む中で予期せぬトラブルが発生することもありますが、それらを迅速かつ的確に対処することで、プロジェクトの遅延や安全上の問題を防ぎます。

施工管理職には、リスク管理能力とプロジェクト全体の見通しを持つことが求められます。

コミュニケーションと指示

施工管理職は、建設現場に関わる多くの人々とのコミュニケーションが重要な業務の一環です。

職人や下請け業者、設計担当者、クライアントなど、複数のステークホルダーが関わる中で、各々の業務がスムーズに進むように指示を出します。また、現場でのトラブルや問題点を適切に報告し、解決策を提示する能力も重要です。的確な指示を出すためには、現場の状況を的確に把握し、関係者に対して明確な情報を伝えることが求められます。

施工管理職は、現場のリーダーとしてチーム全体をまとめるための強いコミュニケーション力が欠かせません。

細かな図面や基準のチェック

施工管理職は、現場で実際に建物を形にしていく際、図面や設計基準が適切に守られているかをチェックする役割を果たします。建物の品質を保証するためには、設計図や施工図と現場での作業内容が一致しているかを細かく確認する必要があります。

例えば、寸法や材料、施工方法が図面通りであるか、法律や建築基準を満たしているかを常にチェックしなければなりません。後々のトラブルや修正を防ぎ、クライアントに高品質な建物を提供できるよう努めます。

設計職の役割と種類

設計職は、建築物を実際に形にするための基盤を作る重要な役割を担っています。クライアントのニーズを正確に反映し、美しさや機能性、安全性を兼ね備えた建物を設計することが求められます。

これらの設計職は、単独で機能するのではなく、他の職種やクライアントと緊密に連携しながら建物全体の完成に向けて進められます。さらに、設計職は建物の品質と性能、そして法的要件や環境基準を満たすための技術的な判断力を求められる職種でもあります。

設計職はプロジェクトの成功に不可欠な存在であり、建築物が社会に貢献するための第一歩を担っています。

意匠設計

意匠設計は、建物の外観や内部空間のデザインを担当する業務です。

建築物のデザインは、クライアントの要望を反映させつつ、美しさと機能性を両立させることが求められます。建築物の形状や素材の選定、色使いなど、視覚的な要素が重要となるため、デザインセンスだけでなく、建築法規や都市計画に関する知識も必要です。

意匠設計の役割は、単に見た目を美しくするだけではなく、周囲の環境との調和や、使いやすさ、快適さを追求する点にあります。

構造設計

構造設計は、建物の安全性を確保するための設計を行う職種です。

建物が地震や台風などの自然災害に耐えられるように、柱や梁、基礎などの構造要素を設計します。特に日本のような地震が多い国では、建物の強度や耐震性が重要視されるため、構造設計は建築プロジェクトにおいて不可欠な役割を果たします。

構造設計者は、最新の構造理論や技術を活用しながら、設計図面上の美しさと実際の耐久性を両立させる必要があります。また、材料の選定やコスト面でもプロジェクト全体のバランスを考慮し、建物の寿命と安全性を最優先に設計を進めます。

設備設計

設備設計は、空調や照明などの設備機器や電気機器の設計を担当します。

これには、空調、給排水、電気設備、防災システムなどが含まれ、建物の快適性と機能性に直接関わる重要な部分を設計します。設備設計者は、建物の使用目的や規模、周辺環境に応じた設備の選定と配置を行い、建物の性能を最大限に引き出す役割を担います。また、省エネルギー技術や環境に配慮した設備の導入も求められるため、最新の技術知識が必要です。

設備設計は、建物の利便性や維持管理のしやすさにも大きく影響するため、効率性を追求しながら設計を進めることが求められます。

積算・見積職の仕事

建設プロジェクトにおいて、積算・見積職は極めて重要な役割を担っています。

この職種の主な目的は、建設に必要な資材や労働力、機材などのコストを正確に計算し、プロジェクトの全体予算を算出することです。積算・見積職の業務が適切に行われることで、クライアントはプロジェクトに必要な費用を把握し、事前に適切な予算計画を立てられます。

資材の数量計算

積算・見積職の業務の中で、資材の数量計算は非常に重要です。

建設プロジェクトにおいて、正確な資材の数量を把握することで、プロジェクトが滞りなく進行し、コストの無駄を最小限に抑えることができます。図面や設計書を基に、必要な資材の量を細かく計算し、工事に必要な資材が不足したり余剰が発生しないよう調整を行います。

この業務が不正確だと、建設現場で資材不足が発生し、工期が遅れたり、逆に過剰に資材を発注してコストが増大するリスクがあります。

建設コストの算出

積算・見積職のもう一つの重要な業務は、プロジェクト全体の建設コストを算出することです。資材の価格、労働力、機材の費用など、さまざまな要素を考慮して正確なコストを見積もることが、プロジェクトの予算管理において不可欠です。

クライアントが適切な予算を組み、計画的にプロジェクトを進めるためには、このコスト算出が鍵となります。コスト算出では、建設現場の状況や市場価格の変動、さらにはサプライヤーとの契約条件なども含めて、現実的かつ正確な見積もりを行う必要があります。

積算・見積職が行うこの業務は、プロジェクトの経済的な成功を左右する非常に責任のある仕事です。

調達職の仕事

調達職は、建設プロジェクトに必要な資材や設備を効率的に調達するための重要な役割を果たします。

この職種の業務は、適切なタイミングで必要な資材を発注し、現場に供給することで、プロジェクトが円滑に進行するよう支えることです。資材の選定やサプライヤーとの交渉、コスト管理と品質維持のバランスを取る能力が求められます。

特に大規模な建設プロジェクトでは、資材の確保がプロジェクト全体の進行を左右するため、調達職は非常に重要なポジションです。調達が遅れると工期が遅れ、余分なコストが発生するため、スケジュールに基づいた効率的な調達が求められます。また、資材の選定においては、コスト削減と品質維持の両立が重要なポイントです。

資材調達の流れ

調達職の主な業務の一つが、資材調達の流れを管理することです。

まず、プロジェクトの設計図や仕様書に基づき、必要な資材をリストアップし、それに応じたサプライヤーを選定します。その後、発注手続きが進められ、資材が建設現場に確実に届けられるよう、納期や数量を調整します。

資材調達は、プロジェクトのスムーズな進行を支える重要な業務であり、納期に遅れが出ると工事全体に大きな影響を与えるため、スケジュール通りに調達を進めることが非常に重要です。また、資材の種類や品質を考慮し、現場に最適なものを確保することが求められます。

コスト削減と品質管理

調達職のもう一つの重要な役割が、コスト削減と品質管理です。

資材調達において、コストを抑えることはプロジェクト全体の予算管理に大きく貢献しますが、同時に品質を保つことも欠かせません。コスト削減のために、安価な資材を選ぶだけではなく、品質が確保された資材を適正価格で調達することが求められます。

調達職は、価格交渉や納入された資材の検査を通じて、コストと品質のバランスを取る役割を担っています。このバランスを適切に保つことで、プロジェクトの信頼性や耐久性が確保されるため、調達職は非常に重要なポジションです。

サプライヤーとの交渉

サプライヤーとの交渉も、調達職の重要なスキルの一つです。

プロジェクトに必要な資材を適正な価格で確保するためには、サプライヤーとの緻密な交渉が不可欠です。単に価格を下げるだけではなく、納期や品質の条件も含めて最適な条件を引き出すことが求められます。

サプライヤーとの長期的な信頼関係を築くことで、安定した資材の供給や将来的なコスト削減が期待できます。調達職は、このような交渉を通じて、プロジェクトの成功に寄与する重要な役割を担っています。

技術開発と研究職

技術開発と研究職は、建設業界において新しい技術や材料を開発し、建築プロジェクトの効率化や品質向上に貢献する重要な役割を果たしています。

建設業界は常に変化し続けており、競争力を維持するためには、技術の革新が不可欠です。技術開発職は、施工現場での安全性や効率性を高める新技術の導入や、環境に配慮した持続可能な建築技術の研究に取り組んでいます。

新技術の開発

技術開発職において最も重要な業務の一つが、新技術の開発です。

建設現場では、作業の効率化や安全性の向上が求められており、これを実現するためには新しい技術や手法の導入が不可欠です。

たとえば、最近ではAIやIoT技術を活用したスマート建設技術が注目されており、これにより建設プロジェクトのリアルタイム管理やトラブルの早期発見が可能になっています。ドローンやロボット技術の導入によって、従来の手作業では難しかった精密な施工が可能になり、業務の効率化が進んでいます。

施工方法の改善

技術開発職のもう一つの重要な役割は、施工方法の改善です。

従来の建設方法では時間やコストがかかる工程を、より効率的かつ安全に進めるための新しい施工手法を模索します。たとえば、プレキャストコンクリート技術や3Dプリンティング技術の進化により、現場での施工が迅速に行えるようになり、労働力不足の解消にも寄与しています。

また、現場での事故を減らすために、リスクの高い作業を自動化する技術も開発されています。これにより、施工の効率が向上し、プロジェクト全体の進行がスムーズに進むようになります。技術開発職は、現場での実践的な改善を重視し、プロジェクトの成功に直結する役割を果たしています。

次世代の建築に応用できる基礎研究

技術開発職は、次世代の建築に応用できる基礎研究にも取り組んでいます。これは、短期的な成果だけでなく、未来の建築技術に貢献するための長期的な視点を持った研究開発です。

具体的には、環境に優しい素材の開発やエネルギー効率を向上させる技術の研究が進められています。これにより、ゼロエネルギービル（ZEB）やカーボンニュートラルを目指した建築が実現しつつあります。また、気候変動に対応した建築物や、自然災害に強い構造の開発なども、次世代の社会に大きな影響を与える研究分野です。

営業職の仕事

営業職は、建設業界においてプロジェクトを獲得し、クライアントとの関係を構築・維持する重要な役割を担っています。営業活動を通じて新しい受注を獲得し、会社の収益に直接つながるため、営業職の活躍が企業の成長に直結します。

建設プロジェクトは規模が大きく、クライアントのニーズも多様であるため、単なる営業活動だけでなく、クライアントとの信頼関係を築くことが求められます。さらに、プロジェクトの進行中もクライアントと密接に連携し、提案や調整を行うことで、スムーズなプロジェクト進行をサポートします。

受注活動

営業職の主要な業務は、プロジェクトの受注活動です。建設業界では、プロジェクトの受注が会社の業績に直結するため、積極的な営業活動が欠かせません。受注活動は、クライアントの要望を聞き取り、それに応じた提案を行うことから始まります。

営業職は、建築技術や市場動向に精通している必要があり、クライアントのニーズに合わせた最適なソリューションを提供することで、受注につなげます。さらに、受注後もプロジェクトが計画通り進行するよう、現場の進捗状況を把握し、クライアントとのコミュニケーションを密に保つことが求められます。

クライアントとの関係構築

営業職にとって、クライアントとの信頼関係を構築することは非常に重要です。建設プロジェクトは長期にわたることが多く、クライアントとの信頼関係がプロジェクトの成功に直結します。

営業職は、プロジェクトの提案から契約締結、その後の進捗管理に至るまで、クライアントと継続的にコミュニケーションを取り、問題が発生した際には迅速に対応します。信頼関係が構築されることで、リピート案件の受注や新規案件の紹介が増え、会社の収益拡大につながります。

クライアントの要望を正確に理解し、それに応じた対応を行うことが、営業職の成功の鍵となります。

プロジェクト提案と調整

営業職は、クライアントのニーズに応じたプロジェクト提案を行い、その後の調整業務も担当します。

クライアントの期待を超える提案を行うためには、市場の動向や建築技術の最新情報を把握することが重要です。また、提案だけでなく、プロジェクト進行中に発生するさまざまな調整業務も営業職の責任範囲です。

事務・管理職の仕事内容

事務・管理職は、建設プロジェクトの円滑な運営を支えるため、バックオフィスからさまざまな業務を管理しサポートする重要な役割を担います。人事・総務、契約・法務管理、現場サポートといった多岐にわたる業務を担当し、プロジェクトがスムーズに進行するための基盤を整えます。

直接的に現場で作業を行うわけではありませんが、企業全体の運営や法令遵守、労働環境の整備を通じて、プロジェクトの成功を支える役割を果たしています。建設業界においても、事務・管理職の適切なサポートがなければ、プロジェクトの効率化やトラブル防止が難しくなり、企業全体の運営に大きな影響を与えるため、欠かせない存在です。

人事・総務業務

事務・管理職の中でも人事・総務業務は、社員の採用や研修、労務管理など、企業運営に欠かせない業務を担当します。

人事業務では、適切な人材を確保するための採用活動や、社員の能力向上を図るための研修制度の運用を行います。また、労働時間の管理や給与計算、福利厚生の整備も人事の重要な業務です。

総務業務では、社内設備の管理や文書管理、各種行政手続きなど、会社全体が円滑に運営されるように必要なサポートを行います。これらの業務が適切に行われることで、現場の社員が安心して働ける環境が整備され、プロジェクトの効率化に貢献します。

契約・法務管理

契約・法務管理は、事務・管理職の中でも特に重要な業務の一つです。建設プロジェクトでは、契約の締結や法的な手続きが数多く発生するため、法務に精通した管理が必要です。契約書の作成や確認、交渉のサポートを通じて、プロジェクトが法的に適切に進行するように管理します。

建設業界は法的な規制が多いため、これに対応した法令遵守の体制を整えることも求められます。例えば、建設業法や労働安全衛生法などの関連法規を順守しつつ、プロジェクトを円滑に進めるためのサポートを行います。

現場サポート業務

事務・管理職は、現場で働く社員やプロジェクトの進行を支援するためのサポート業務も担当します。具体的には、現場へのパソコンや書類の送付や、作業着、作業靴の手配などが含まれます。

現場で発生する問題に対する迅速な対応や調整を行うことで、作業が滞りなく進むようにサポートします。事務・管理職が現場と密接に連携することで、建設プロジェクトがスムーズに進行し、トラブルや遅延を防ぐことができます。

まとめ

ゼネコンの各職種には、それぞれが専門的な役割を担い、プロジェクトの成功に貢献しています。

施工管理職は工事現場全体を監督し、設計職はクライアントの要望を反映させた建物の設計を担当します。積算・見積職や調達職は、プロジェクトにおけるコスト管理と資材調達を担い、技術開発と研究職は建設業界の未来を見据えた技術革新を推進します。

さらに、営業職は新規プロジェクトの獲得とクライアントとの関係構築を行い、事務・管理職はバックオフィスからプロジェクトの運営を支えます。これらの職種が連携して初めて、建設プロジェクトは成功に導かれます。

各職種の役割を深く理解し、それぞれの専門性を活かして働くことが、建設業界での成長と成功の鍵となります。ぜひ自分に合った職種で、建設業界で働いてみませんか？